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ビジネスセミナー
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2025年3月6日
「ナント経済月報3月号」発刊。
奈良県の経済、大阪府の経済、京都府の経済を更新しました。
粋なら(奈良の風景)

華厳宗 元興寺塔跡(奈良市)

奈良市の旧市街「ならまち」にある元興寺は、日本最古の本格的な仏教寺院である法興寺(飛鳥寺)を前身とし、平城遷都に伴って現在の地に移りました。奈良時代には現在のならまち一帯に広がる広大な敷地に七堂伽藍を構えていましたが、平安時代以降国家の保護を受けられなくなり徐々に衰退していきました。特に鎌倉時代からは一揆や火災などで金堂などの主要な建物の大半が消失し、現在は元興寺極楽坊(真言律宗元興寺)、元興寺小塔院跡(真言律宗小塔院)、元興寺五重塔・観音堂跡(華厳宗元興寺)の三つの寺院に分かれて残っています。

元興寺塔跡の境内には、興福寺の五重塔とはほぼ同じ高さの五重塔が奈良の名所として建っていました。しかし1859年(安政6年)、近隣の民家の火事が燃え移り、五重塔は観音堂とともに焼失しました。その後、五重塔の再建はなされず、柱などを支えた十七の礎石が国の史跡指定を受け、ほぼそのままの形で残っています。他に、平城遷都に伴って飛鳥から運ばれた稀少な礎石も境内に安置されています。

境内には桜やハギ、スイセンなど四季を通して多くの花が咲き「花の寺」として多くの人々に親しまれていましたが、2023年からは常駐での維持・運営が諸般の事情により困難となり、拝観停止となっていました。現在は、地域住民やボランティアが協力しながら、毎月境内の草刈りや手入れなどを実施、地域に開かれた花の豊かな寺としての環境維持と期間限定拝観の実施に取り組んでいます。また、飛鳥時代からの先人の仏教普及の努力を偲ぶ機会をつくり、かつ中世以降の観音信仰や厄除信仰などを復興していくことで持続可能化を目指されています。昨年からは「桜まつり」を開催し、期間中は特別拝観期間として本堂や庭園を参拝、鑑賞でき、いにしえの参拝者の賑わいを取り戻し始めています。

※『元興寺塔跡桜まつり(特別拝観)』3月28日(金)、29日(土)、30日(日)、4月3日(木)、4日(金)、5日(土)、6日(日)に開催されます。飛鳥からの礎石および、奈良博展示「八雷神面」の護符版木も展示予定。


◆󠄀華厳宗 元興寺塔跡
奈良市芝新屋町12
℡0742-22-5218
(写真提供:華厳宗 元興寺塔跡)


元興寺の石碑や塔跡の礎石と共に咲く美しい桜

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*本ページ上部の写真は、明神平の樹氷・東吉野村