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地元産業の現況  
奈良県内の繊維関連産業・流通小売業等の地元産業の現況に関する情報を提供しています。

*グラフを掲載した「地元産業の現況」(PDF版)はこちらをご覧ください。

流通小売業

近畿経済産業局発表の「百貨店・スーパー販売状況」によると5月の奈良県の百貨店・スーパー販売額(全店ベース、速報)は、前年同月比1.7%減少(近畿合計:0.5%減)と前年を下回った。

商品別内訳をみると、飲食料品が0.4%増加(同0.8%減)、身の回り品が0.1%増加(同0.3%減)と前年を上回ったが、衣料品が6.4%減少(同3.0%減)と前年を下回った。

次に、6月以降の県内百貨店・スーパーにおける状況をみると、衣料品は、6月前半は例年に比べ過ごしやすい日が続いたこともあり、全般的に「夏物」の販売が不調だった。7月以降「夏のバーゲンセール」で不振を挽回しようと考えている店舗も見受けられた。

飲食料品では、野菜や肉の売上は前年並みだが、鮮魚が低調な店舗が多かった。原因は、魚の内臓や筋肉内に寄生し、生で食べるとヒトにも感染し腹痛等を起こす「アニサキス」の影響によるものと考えられ、生魚の切り身を焼き魚や揚げ物等に加工することで、刺身等の売上減少分をカバーしようする店舗もみられた。

また、「手作り」の惣菜に力を入れ、その場で顧客が選んだ食材を、うまく弁当のように盛り合わせて提供したり、来店した高齢のお客様を中心に積極的に店員が声掛けをし、顔見知りになることで、顧客獲得に努める店舗も見受けられた。

「プレミアムフライデー」への対応としては、自社ブランドカードに通常より多いポイントを付与している店舗や、少し上質な食材を店頭に並べることで売上を伸ばしている店舗もあった。

来店誘致を図るべく、フロアの一角に「奈良の名産品コーナー」を設けたり、今後、近隣自治体と連携しイベント等の開催を考える店舗や、ネットサービスや配達サービスに力を入れている店舗もあり、それぞれが独自性を出すことで顧客獲得、囲い込みに注力している。


観光産業

奈良市および周辺主要ホテル9社の客室稼働率(単純平均)は、5月が前年同月比2.3ポイント上昇の86.1%[最も高いホテルは約97%]、6月は同4.4ポイント低下の75.0%[同約83%]。

宿泊人数は5月が前年同月比2.3%増の60,906人、6月は同5.4%減の48,085人であった。

奈良県を訪れる外国人客数は、年々増加しており平成28年は1,654千人であった。中国、台湾、韓国の3カ国で7割強を占め、中でも中国は前年比85.5%の増加で、単独で4割強を占めている。

今後も奈良県を訪れる外国人の観光需要が見込めることから、観光市場の活性化策としてユニバーサルデザインを意識した観光地づくりを進めることが誘客につながるとの声もある。

奈良市と公益社団法人奈良市観光協会、西日本旅客鉄道株式会社、近畿日本鉄道株式会社、奈良交通株式会社は共同で、夏の奈良への誘客施策として7月1日から9月30日まで「なつの奈良旅キャンペーン2017『わたし咲く、なつの奈良』」を実施している。2013年度から5年目となる本年度は、体験コンテンツの拡大に重点をおき、新日本三大夜景「奈良若草山夜景観賞バス」の運行、夏休み特別企画として春日大社境内飛火野(奈良公園内)での「なつの鹿寄せ」や世界遺産東大寺の大仏縁起絵巻(重要文化財)の特別公開など、夏の奈良旅を企画している。


乗用車販売店

奈良運輸支局及び奈良県軽自動車協会によると、2017年6月の奈良県内新車販売台数(軽自動車含む)は前年同月比10.3%増の4,067台で、8か月連続で前年を上回った。

内訳を見ると、普通車+小型車が同9.4%増の2,730台で2か月ぶりの増加、軽自動車が同12.3%増の1,337台で3か月連続の増加となった。17年1‐6月の累計では、普通車+小型車が前年同期比9.5%増の16,342台、軽自動車が同6.7%増の8,419台であった。

普通車・小型車の新車投入効果や、一部の軽自動車が昨年の燃費不正問題で低迷した反動増が、増加の主な要因と見られる。

人口減少や少子高齢化に伴って国内乗用車市場も今後縮小が見込まれ、既存顧客の囲い込みが各社の最重要テーマ。自宅訪問や電話営業を望まない人も増えており、魅力ある店舗作り、LINE等SNS会員の組織化、営業ツールのIT化による効率化推進等に各社注力している。

ドライバーの高齢化を受け衝突防止等の安全機能へのニーズが急上昇。安全機能装備車の拡販を各社推進しており、店舗スタッフに安全機能説明の講習を受けさせる販売会社もある。

技術系社員の人材不足は業界の構造問題となっており、整備士養成学校の新卒採用だけでなく社内での独自育成検討の動きも出始めている。


家電大型専門店

経済産業省「商業動態統計月報(5月確報)」によれば、2017年5月の奈良県の家電大型専門店販売額は前年同月比1.1%増の3,412百万円、店舗数は前年と同数の37か店となった。

7月に入り厳しい暑さとなる中、季節家電は堅調な売れ行き。エアコンでは、高性能かつ電気代が安いハイパワーモデルが人気。省エネ・空調効率を考え扇風機を併用するケースも増え、360度首振り機能付きのものや、風量が自在に調節可能なDC(直流)モーター搭載タイプが売れ筋。冷蔵庫では、省エネ性能の向上が見られる他、外形サイズはそのままで大容量化が進み、食材の買いだめニーズに応えることで好評を得ている。

PC販売台数はスマートフォンに押され減少傾向にあり、2017年4月のWindows Vistaサポート終了に伴う買替需要は見られなかった。タブレット需要は一巡し、盛り上がりを欠く。

テレビは4K(フルハイビジョンの4倍の解像度)が主流。有機EL(エレクトロルミネッセンスの略。電圧を加え発光素子自体を光らせる技術)に再び注目が集まりつつあり、液晶に比べ高価格ながらも、より鮮やかな色彩表現が消費者に支持されている。

全体的に、消費者は自身が価値を認めたものへの支出を惜しまない傾向が見られ、高価格帯の商品を含め家電への消費は堅調である。


プラスチック製品製造業

県内プラスチック製品製造業は、年初来、季節要因等により多少の変動はあったものの、製品梱包用副資材(ストレッチフィルム)の引き合いは順調で、人手不足の企業も多いなど、生産設備の稼働状況は総じて堅調。

原材料価格は、昨年後半より上昇していた輸入ナフサ価格が足元では落ち着いており、国産ナフサ価格もこれに追随した値動きになるとみられる。

設備投資では、各種補助金や税制のメリットを活用し、旧型の射出成形機を計画的に更新する動きが続いているほか、県の企業誘致関連の支援制度等を活用し、複数の企業が工場の新設・増設や本社社屋の建替えを行っていることからも、業況の堅調ぶりが窺える。

外国人技能実習生は7月に11名が入国し、今年度は春の入国組も合せて約50名が、県内約20社に受け入れられている。

採用面では、昨年、新卒を採用できた組合員企業はごくわずかで、毎年、高卒を2名程度採用している企業でも、昨年は新卒採用が叶わなかった。奈良県プラスチック成型協同組合によると、大手企業等が予め若年社員の離職を見越して、所要人数より多く採用するケースがあり、県内中小企業の新卒採用をより難しくしているという。同組合では、県内高卒者の地元就職を促進する奈良県の施策に期待を寄せている。


機械関連産業

内閣府の「機械受注統計」によると、全国の2017年5月の機械受注は、「工作機械」が5か月連続で前年同月比増加となり、5月は同24.2%増加。「電子・通信機械」は3か月連続で増加し、5月は同6.9%増加。「産業機械」は2か月ぶりの増加で、5月は同19.2%増となった。

「奈良県鉱工業指数」(2010年=100:注)で奈良県の2017年5月の機械の生産指数(原指数)をみると、一般機械工業は前年同月比6.2%増の97.2、電気機械工業は同84.1%減の5.5、輸送機械工業は同4.8%増の93.8だった。

*注:抽出調査のため生産量全体の増減を示すものではない。

奈良県内の企業の動きをみると、生産・出荷に大きな動きはなく、概ね前年並みか、あるいはやや増加圏内で推移している。

業界では全般的に人材が不足し各企業ではその対策を講じており、地元高校の就職担当者へのアプローチ強化や就職サイトへの登録等により新卒者への認知度を高めるとともに、管理者クラスの人材を積極的に採用するなど量的面での充実を図っている。また、質的面においては社員のスキルアップのため技能検定の受験を奨励し、検定合格者に手当を支給する一方で、手当の支給は人件費の増加に繋がるため、慎重な姿勢を崩さない企業もある。