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地元産業の現況  
奈良県内の繊維関連産業・流通小売業等の地元産業の現況に関する情報を提供しています。

*グラフを掲載した「地元産業の現況」(PDF版)はこちらをご覧ください。

流通小売業

近畿経済産業局発表の「百貨店・スーパー販売状況」によると5月の奈良県の百貨店・スーパー販売額(全店ベース、速報)は、前年同月比3.1%減少(近畿合計:2.0%減)と前年を下回った。

商品別内訳をみると、衣料品が11.6%減少(同7.0%減)、身の回り品が4.3%減少(同0.0%)、飲食料品が1.6%減少(同1.9%減)とすべての商品で前年を下回った。

次に5月、6月の県内百貨店・スーパーにおける状況をみると、食料品では特に惣菜が好調に推移。パック商品に加えて、顧客が店員と対面で惣菜を購入するスタイルを取り入れる店舗があり、高齢者に人気となっている。衣料品はインターネット通販との競争激化により婦人衣料を中心に苦戦しているが、気温の上昇に伴い、婦人服、紳士服、子供服ともに夏物衣料が売上げを牽引。6月末から始まった夏のクリアランスセールも出足が良く、6月の売上高は前年を上回った。今夏初めてセールを2回に分けて実施することで、消費を喚起して伸び悩む衣料品の販売を活性化させたい意向。

また、インバウンド消費も引き続き好調。訪日客は大阪府を経由するケースが大半を占め、依然として中国人が最も多い。化粧品を中心に高級ブランド品の人気が高く、売上は増加傾向にある。

6月18日に発生した大阪府北部の地震により一部の店舗で商品が落ちるなどしたが、影響は軽微にとどまった。一方で、飲料水を備蓄用に購入する動きがあり、防災グッズなどと併せて一時的に売上げを伸ばした店舗もあった。

雇用状況については、いずれの店舗も正社員に限らず学生アルバイトやパートの応募も少なく、従業員不足に悩んでいる。人材確保のために外国人に間口を広げ、既に雇用している店舗もあり、賃金上昇や勤務時間の短縮など各店舗が対策をたて雇用問題の解消に努めている。


観光産業

奈良市および周辺主要ホテル9社の客室稼働率(単純平均)は、5月が前年同月比6.1ポイント低下の80.1%、6月は同4.8ポイント低下の70.2%であった。宿泊人数は5月が同5.8%減の57,373人、6月は同8.1%減の44,847人であった。

奈良を訪れる訪日外客数は堅調に推移しているものの、日本人宿泊客数がやや減少しているとの声もある。また6月に発生した大阪北部地震の影響により宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、宿泊人数が前年同月比減少となった施設も多い。

7月の日本政府観光局の発表によれば、6月の訪日外客数は前年同月比15.3%増の270万5千人となり、6月として過去最高を記録した。上半期の累計では、前年同期比15.6%増の1,589万9千人となり対象となる20市場(韓国、中国、アメリカなどの国・地域)すべてで過去最高となった。

訪日外客数を市場別に見ると、インドネシア、アメリカが単月として過去最高を記録したほか、韓国、中国、台湾、タイなど18市場で、6月として過去最高を記録した。団体ツアー客は減少したものの、個人やリピーター客が確実に増加しているとみられる。

さらに航空路線の新規就航や増便、チャーター便の就航による航空座席供給量の増加に加え、継続的に展開している訪日旅行プロモーションの効果も相まって、訪日外客数が堅調に推移した。


乗用車販売店

奈良運輸支局及び奈良県軽自動車協会によると、2018年6月の奈良県内新車販売台数(軽自動車含む)は3,913台(前年同月比3.8%減)で、3か月ぶりに前年を下回った。

内訳を見ると、普通車+小型車が2,506台(同8.2%減)で6か月連続の減少、軽自動車が1,407台(同5.2%増)で10か月連続の増加となった。18年1~6月の累計では、普通車+小型車が15,098台(前年同期比7.6%減)で、軽自動車が9,235台(同9.7%増)であった。

普通車・小型車は新型車効果の一巡等が影響しマイナス、軽自動車は新型車効果等が影響しプラスで推移していると見られるが、自動車市場全体は人口減少、少子高齢化、保有期間の長期化などの構造要因を受け緩やかな縮小傾向にあり、県内においても同様の傾向と考えられる。

整備エンジニアの人材不足は引き続き業界全体の懸案。整備士学校卒ではなく高卒で採用し社内育成する動きがあるほか、他県ディーラーですでに事例のある外国人技能実習生の受け入れを検討する動きもある。

顧客との接点を増やして顧客ニーズを掘り起こすために、地域全体へのアプローチ強化が重要と業界では考えられており、ディーラー各社においては積極的な地域貢献の取組が引き続き見られる。


家電大型専門店

経済産業省「商業動態統計月報(4月確報)」によれば、2018年4月の奈良県の家電大型専門店販売額は前年同月比1.0%減の3,375百万円。店舗数は前年と同数の37か店となり、前月より1か店増加した。

ボーナス支給額増加等の影響を受けて消費状況は堅調。特に高性能・高価格商品のニーズが高まっている。

生活家電については、4月から気温が上がり、扇風機の売上げが増加した。洗濯機や冷蔵庫も好調で、特に大容量対応タイプに人気が集まり、購入単価は上昇傾向にある。調理家電も「時短」効果があるモデルを主流として売上げを伸ばしている。また、新生活需要により、単身者向け家電についても好調であった。

AV家電については、FIFAワールドカップ開催の影響もありテレビの売上げが増加。ワールドカップやオリンピック等、イベント開催時には大画面テレビや録画機器の需要が伸びる。

カメラ類については全国的に売上げが低調。ただ、県内の一部店舗からは「ミラーレスカメラが好調で、なかでも高価格商品の人気が高まっている」との声も聞かれる。

近年の家電製品は高価格であっても省エネ機能が充実しており、初期費用を長期的な投資と捉える消費者は、ランニングコストや耐久性、機能性を考慮して商品を選択・購入する傾向にある。


プラスチック製品製造業

県内プラスチック業界は、旺盛な受注を背景に、景況感は概ね堅調を維持しているが、原材料価格の上昇やコスト要因による利益率の低下が懸念されている。

受注面では、中国、香港等への化粧品輸出の堅調を背景に、化粧品関連のボトル成形で受注が旺盛となっている。設備投資については、生産設備の増設や、検品・箱詰め等の後工程の自動化を進める動きも見られる。平成29年度補正ものづくり補助金申請については、生産体制の管理を行うIoT投資案件など、奈良県プラスチック成型協同組合の組合員企業約20社が採択された。補助金等の公的な支援を、自社の経営戦略に積極的に活用する動きが、県内プラスチック業界にも広まってきたことが窺われる。

一方、ナフサ価格や物流費等の上昇に伴い、原材料である合成樹脂の仕入価格の上昇が続いている。加えて、7月に西日本で発生した豪雨災害が輸送コストの高騰を招いているとの声もある。慢性的な人手不足と原材料価格の上昇は今後も続くとみられ、これら懸念材料にどう対応していくかが各社の当面の課題になるとみられる。

なお、外国人技能実習制度については、昨年の法改正により、受入れや更新時の書類・手続きが増えたため、4月に予定されていた実習生の入国が、数か月遅延する事案が複数発生している。


建設業

国土交通省の建築動態統計により平成29年6月から平成30年5月までの1年間の県内の工事費予定額についてみると、民間工事は前年比6.1%の増加だった。これに対して公共工事は同21.5%の減少となった。

原材料価格の状況をみると、鉄筋、鉄骨などの鉄関連および生コンともに高止まりしているものの安定推移している。またガソリン等燃料がやや上昇している。

人件費は大きな変化はないが「強いてあげれば、ガードマンの費用が高くなっている」との意見もあった。

今後については、民間工事では、ホテル建設等の大きな工事があるものの、大手ゼネコンが中心で、地元の建設業者にはあまり回ってこない様子。また、ホテルの建設にとどまらず、飲食店など宿泊客が利用できる周辺施設を充実させることも今後の地元経済の発展のために必要である。

公共工事では、市町村庁舎の老朽化に伴う建て替え工事が順次進められている。近年、発注はデザインビルド方式(公共事業での事業コスト削減、設計、施工期間の短縮を目的に、設計と建築を一体の業務として発注する方式)で行われることが増えてきており、そのため、建設業者には提案力等が求められる。