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地元産業の現況  
奈良県内の繊維関連産業・流通小売業等の地元産業の現況に関する情報を提供しています。

*グラフを掲載した「地元産業の現況」(PDF版)はこちらをご覧ください。

流通小売業

近畿経済産業局発表の「百貨店・スーパー販売状況」によると11月の奈良県の百貨店・スーパー販売額(全店ベース、速報)は、前年同月比0.1%減少(近畿合計:1.7%増)と前年を下回った。

商品別内訳をみると、飲食料品が0.4%増加(同0.3%減)、身の回り品が10.1%増加(同3.4%増)したが、衣料品が5.1%減少(同2.2%増)と前年を下回った。

次に11月、12月の県内百貨店・スーパーにおける状況をみると、飲食料品は、肉の売上が好調、野菜は天候不順の影響で前年に比べ単価が高騰した結果、売上高は微増。鮮魚は売上が落ち込んだ店舗が多かったが、11月ごろから「鍋物」の具材として鮮魚の切り身を購入する客が多くなり、売上が回復した店舗が多かった。

衣料品は、11月は前年比マイナスとなったが、11月下旬頃から12月にかけて寒さが増したことから、12月に入り、紳士用、婦人用コートを中心に「冬物」の売上は好調。さらに、年末年始のバーゲンセール等により売上は増加した。

奈良県内においては、化粧品を中心にインバウンド向けの売上は伸びている。また、時計等の高額品が国内向けにも売れていることから、「良いものには多少値段が高くてもお金を使う客が増えており、高所得者層が中心ではあるが景気に明るい兆しが見えているのでは」と考える一方、「飲食料品に関しては、依然節約志向が強い」とみている店舗もあった。

どの店舗も売上増加に向け、様々な方策を検討している。丁寧な接客の徹底を図ることや「配達サービス」や「ネットサービス」の推進を強化したり、奈良県内の多くの市町村と連携し食料品売り場に「奈良の名産品コーナー」を常設することで、観光客の来店誘致を図ろうとする店舗など、それぞれが他店との違いを明確にしようと努めている。


観光産業

奈良市および周辺主要ホテル9社の客室稼働率(単純平均)は、11月が前年同月比1.5ポイント上昇の89.9%[最も高いホテルは約98%]、12月は同7.0ポイント低下の64.6%[同約96%]であった。

宿泊人数は11月が同1.4%増の59,443人、12月は同9.4%減の45,137人となった。

9社の2017年4~12月期の宿泊人数は486,818人となり、2016年同期(505,102人)と比較して3.6%の減少となった。2017年は訪日外国人宿泊客の小グループ化や観光シーズンの予期せぬ台風の影響により前年同期と比べ宿泊人数は減少した。

奈良県は冬の奥大和(県南・東部地域)の観光振興に力を入れている。昨年の12月から3月4日(十津川村に向かう路線は3月30日)まで同地域での宿泊者を対象に、16路線でバス運賃のキャッシュバックキャンペーン(今年度で4回目)を実施している。路線バスを無料で利用してもらい同地域への誘客促進を図っている。奈良県によると同キャンペーンの成果は着実に上がっているようで、昨年度は延べ10,000人以上が利用している。

また奈良県が地元地域の自治体や民間事業者等と取組んでいるのが「奈良ええとこキャンペーン」。修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)ゆかりの天川村を中心に、提灯や灯籠で洞川温泉街をライトアップし、伝統食材が楽しめるツアーや写経など体験型ツアーを展開し、奥深い奈良の魅力を発信している。


乗用車販売店

奈良運輸支局及び奈良県軽自動車協会によると、奈良県内の2017年の乗用車新車販売台数(普通+小型+軽)は前年比4.9%増(全国5.8%増)の45,971台で、3年ぶりに増加した。内訳を見ると、普通車+小型車が同4.0%増(全国5.1%増)の30,070台で2年連続の増加、軽自動車が同6.7%増(全国7.3%増)の15,901台で3年ぶりの増加となった。

普通車・小型車の新車投入効果や、一部の軽自動車が2016年の燃費不正問題で低迷した反動が主な増加要因で、自動ブレーキ等安全運転支援機能付きの乗用車も全体の伸びを牽引した。

人口減少や少子高齢化に伴って国内乗用車市場の縮小が見込まれる中、自動車メーカー各社では地域ごとの実情に応じたきめ細かなディーラー戦略を立てるなどの動きが見られる。

県内マーケットも人口減に転じた成熟市場であり新規顧客獲得は容易ではない。ディーラー各社では既存顧客の囲い込みや深堀りに重点を置き、来店やサービス入庫の頻度増加に注力。顧客接触を増やすことで他社への流出防止や口コミでの顧客紹介増加等の効果を狙っている。

技術系を中心に人材不足は引き続き課題だが、軽自動車ディーラーでは、ユーザーの6割以上を占める女性への対応を視野に、女性営業の採用・育成に積極的に取り組む企業も見られる。


家電大型専門店

経済産業省「商業動態統計月報(11月確報)」によれば、2017年11月の奈良県の家電大型専門店販売額は前年比5.7%増の3,607百万円。店舗数は36か店と前年比1か店減少したものの、販売額は前年を上回り堅調に推移した。

生活家電については、今冬の厳しい冷え込みを受け、エアコンや石油ファンヒーター等の季節家電が堅調。洗濯機や冷蔵庫については、外形寸法はそのままで容量を増やしたモデルが人気。

AV家電については、40型以上の大画面テレビで4K※1が主流となり、特に有機EL※2人気が購入単価を引き上げている。今後もエコポイント導入(2009年)からアナログ停波(2011年)にかけて購入された液晶テレビの買替需要が見込まれ、売行きは堅調と予測される。
※1…フルハイビジョンの4倍に相当する高解像度。
※2…エレクトロルミネッセンスの略。電圧を加え発光素子自体を光らせる技術。

通信家電については、11月に発売開始したiPhone X(アイフォーン テン)が好調で販売額を押し上げた。

カメラ類については、スマートフォン普及の陰でコンパクトデジカメは不振。一方、「インスタ映え」が流行語となったように、SNSでのコンテンツシェアを目的として、一眼レフ・ミラーレス一眼、ウェアラブルカメラのGoPro(ゴープロ)等が堅調。家電市場が成熟化する中、単なるモノからコトへとシフトする消費を反映していると考えられる。


プラスチック製品製造業

県内プラスチック業界の業況は全般的に堅調で、機械部品等の工業向け、自動車関連、半導体関連から日用雑貨、化粧品関連まで、幅広い分野で受注が旺盛となっている。設備投資面でも積極スタンスが見られ、生産設備の更新だけでなく、新社屋、新工場の建設を行う企業も多い。省エネ化や技術対応力の向上により収益構造が改善する好循環が期待される。

一方で日用品関連でも、主に住居の新築や転居の際にしか購入されない商材を成形している企業では、住宅着工件数の伸び悩み、企業における転居を伴う人事異動の減少等により、受注・販売がやや軟調となっている。

食品関連や医療関連等、耐熱性、強度、衛生面等で品質の信頼性が求められる商材を成形する企業では、高価でも敢えて国内産の合成樹脂を使用する傾向があり、原材料価格の上昇傾向が懸念材料となっている。

人手不足は同業界でも深刻で、設備面での生産能力には余力があっても、フルに稼働させるだけの人手がおらず、やむなく受注を断らざるを得ないケースが散見されるようになっている。加えて、物流業界での人手不足が輸送コストの上昇を招くなど、直接的また間接的にプラスチック業界の収益圧迫要因となりつつある。


機械関連産業

内閣府の「機械受注統計」によると、全国の2017年11月の機械受注は、「工作機械」が11か月連続で前年同月比増加となり、11月は同41.0%増加。「電子・通信機械」は9か月連続で増加し、11月は同15.2%増加。「産業機械」は7か月連続の増加で、11月は同10.5%増となった。

「奈良県鉱工業指数」(2010年=100:注)で奈良県の2017年11月の機械の生産指数(原指数)をみると、一般機械工業は前年同月比37.1%増の132.4、電気機械工業は同90.6%減の2.7、輸送機械工業は同5.3%増の115.0だった。
*注:抽出調査のため生産量全体の増減を示すものではない。

奈良県内の企業の動きをみると、生産・出荷はやや増加基調で推移するものの、大きな変化はみられない。

全国的な景気回復を受け、大手企業が新卒採用枠の拡大を図るなか、その煽りを受け県内では新卒者を中心とした採用が厳しい企業が多い。特に業容の拡大に伴って人材が必要な企業では、独自に工夫を凝らすなど人の確保に躍起となっている。

自動車部品を製造するメーカーでは、EV(電気自動車)化や衝突被害軽減ブレーキ、自動運転推進の動きなど激動期を迎えている自動車産業の状況に呼応する動きがあり、既存事業の足元を固めつつも、新たなビジネスチャンスを窺う企業もみられる。