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源九郎稲荷神社 (大和郡山市)
金魚の町として知られる大和郡山市には、歌舞伎の演目で人気の高い『義経千本桜』に登場する白狐、源九郎狐ゆかりの神社があり、多くの歌舞伎役者が参拝に訪れます。しかしこの神社のある大和郡山市と源義経は何の由縁もありません。ではなぜこの地に源九郎稲荷神社はあるのでしょうか。
かつて大和郡山市は郡山城を中心とした一大城下町でした。1585年には豊臣秀吉の弟、秀長が大和・紀伊・和泉の3か国を治める百余万石の大名として繁栄の時代を迎えます。当時武士には戦への勝利祈願など自身が信仰する神となる守護神がいましたが、秀長は農民出身のため守護神がいません。守護神について僧である宝譽上人(ほうよしょうにん)に相談した秀長は、上人から「源九郎狐を郡山城内に祀れば守護神になってくれる」という夢のお告げを聞き、吉野川のほとりに祀られていた源九郎狐の社を郡山城へ遷座しました。その後江戸時代には『義経千本桜』が人気となり、多くの人が自由に参拝できる現在の洞泉寺町へ城内より再び遷座されました。
3月31日には「大和郡山お城まつり」で白狐の面をつけた子供達が練り歩く「白狐渡御」が行われます。可愛らしい子狐達の明るく元気な姿に周りも自然と笑顔が溢れ、ワクワクした気持ちになります。
(村井 渚)
◆源九郎稲荷神社
奈良県大和郡山市洞泉寺町15
巻物と宝珠をくわえた
狛犬ならぬ狛狐と拝殿