

宝山寺獅子閣(生駒市)
生駒山中腹にある宝山寺境内の北の山裾に、2階建て洋風建築「獅子閣」があります。宝山寺第14世住職・乗空(じょうくう)は、かねてから思い描いていた洋風客殿を建設する為、明治8年の聖天堂再建の際に、大工として働いていた越後出身の吉村松太郎の腕を見込み、3年間横浜に留学させました。その後、晴れて棟梁に任じられた松太郎のもと獅子閣は明治17年に(1884年)落慶しました。獅子閣は、国内にある洋風建築の技術に宮大工の技術を盛り込んだ和洋折衷の擬洋風建築の中でもひときわ秀逸で貴重な建物として、昭和36年(1961年)国の重要文化財に指定されています。
建物のポーチとベランダには1階に角柱、2階には丸柱が用いられ、柱やアーチ部分には植物をデザインした飾りが彫られています。玄関ポーチから赤・青・緑・黄色の色付ガラスがはめ込まれた美しい扉を入ると、6畳の和室2室と螺旋(らせん)階段が目に留まります。特にこの螺旋階段は、中心の柱で踏み板を支えているため、最上段と最下段以外は宙に浮いたように見える大変珍しい造りになっています。2階は格天井と金箔の床の間、美しい襖絵の10畳を2室つなげた和室で、南側のベランダからは眼下に奈良の町が一望できます。特に獅子閣で使われている金属品の多くは舶来品で、頭の丸い洋釘は、釘の頭をわざと見せるような打ち方をすることで装飾として利用するなど、細部まで手の込んだ工作技術が光ります。年に数回の特別公開の際には、ぜひ当時の繊細で丁寧な宮大工の技術に注目してください。
(村井 渚)
◆宝山寺獅子閣
生駒市門前町1番1号
TEL 0743-73-2006
(写真提供:宝山寺)

重要文化財 宝山寺獅子閣(正面)














