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奈良県への訪日外国人は、全観光入込客数の僅か1.1%(2012年12月)
主席研究員 島田 清彦
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■奈良県への訪日外国人は何万人?

2011年に奈良県へ訪れた訪日外国人 (観光以外を含む) は何万人か? 正解は「202千人」だが、より実態に近い数値はという限定がつく。 同数値は日本政府観光局(JNTO)が公表している「訪日外客数(商用客を含む)」〔2011年622万人〕に、観光庁が実施した「訪日外国人消費動向調査(*)」の2011年4~12月期の都道府県別訪問率〔奈良県は3.25%〕を乗じて推計している。 *標本数は年間26,000人。成田国際空港、関西国際空港等の11空海港での調査員による聞き取り調査。

東京都は訪日外国人の2人に1人が、隣接の大阪府は4人に1人が、京都府は6人に1人が訪問していることを考慮すると、奈良県への訪問率3.25%(約31人に1人)は、やや物足りないと感じる。


■インバウンド推進の効果は不安定な一面も

観光庁「共通基準による観光入込客統計」によると、同年の奈良県への訪日外国人は57千人回で、前述の202千人との乖離率は-254.6%と、比較可能な36都道県中で最大〔100%以上は奈良県だけ〕。また、2012年1~3月期の訪日外国人の観光消費額単価は、宿泊2,961円が日帰り6,671円より少ない。

この乖離や不思議な逆転現象は、同調査の標本数に占める訪日外国人が少ないことが原因だ。観光客の動向を把握するパラメータ調査地点が少ないのか(奈良県10、広島県20)、訪日外国人の主要な訪問地点が漏れているのかなど、今後の検証・改善が期待される。

一方、訪日外客数〔観光客〕の推移は、2008年が605万人、09年476万人、10年636万人、11年406万人と、リーマンショックや東日本大震災等の影響もあり増減の波が大きい。2012年も尖閣問題で中国人観光客が大幅に減るなど、外的要因の影響を受けやすく、不安定な一面も否定できない。

奈良県への訪日外国人は、2011年観光入込客数約1,890万人回の1.1%と僅か。インバウンド推進を否定はしないが、奈良県民など眼前の潜在顧客にもっと眼を向けても良いのでは。(島田清彦)


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図2