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規模の異なる対象の比較には「指数」の活用を(2013年6月)
主席研究員 島田 清彦
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■規模の異なる対象の比較には「指数」の活用を

本年3月、国立社会保障・人口問題研究所が「日本の地域別将来推計人口(2013年3月推計)」をとりまとめ、2040年の各都道府県の人口がどのように変化するかを公表した。

奈良県の人口や経済の統計数値を分析する際、単に全国平均と比較するだけではなく、関西2府4県の中で比較されることも多い。実数の棒グラフや折れ線グラフが作成される場合が多いが、これだと規模の小さい県の変化がわかりづらくなる。実際、奈良県人口(2010年:140万人)は大阪府の約1/6の規模しかないために、人口の変化率が大きくてもグラフ上での差異・変化は僅かとなり、感覚的に把握しづらくなる。

このような規模の異なる対象の比較に有効な方法が「指数」である。指数とは、統計数値の大小関係を比較するために2つの数値の一方を比較の基準として、他方の大きさを相対的に表したもの。図1の人口指数(2010年=100)のグラフをみると、奈良県の落ち込みの大きさがわかりやすくなる。

図1

■基準年を変えてみる

図1は2010年(基準年)の人口を100としてグラフ化しているが、図2のように「国勢調査報告」(総務省統計局)を活用して1960年以降の実績値を追加し、1960年の人口を100とした人口指数でみると、奈良県人口の特異な変化とそれに伴う課題が見えてくる。

例えば「人口の急増(関西で最大)と急減(ピーク時からの減少幅も最大)が、地域経済に大きなひずみをもたらす懸念はないか」「人口が3/4に減少しても、人口急増に伴い整備されてきたインフラの維持・補修のコスト負担に耐えられるのか」などの疑問が湧いてくるかも知れない。(島田清彦)


図1