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インバウンドの急増をミニバブルに終わらせないために(2017年2月)
事務局長・主席研究員 島田 清彦
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■観光入込客数:繁閑の差が非常に大きい

奈良県観光の課題は「日帰り観光の多さ」だけではない。奈良県の観光入込客数(日本人・観光目的)は春・秋が多いという印象であるが、統計上の結果は異なる。奈良県の観光入込客の季節毎の構成比は、2014年1-3月期が35.0%で39都道府県(平均24.9%)中1位。一方、全国的に最も多い7-9月期(同27.0%)は奈良県が20.1%で39位。

月別観光入込客数をみると、初詣客を含む1月が約630万人(全体の16.5%)で最多。但し、1月の宿泊者数は約11万人で、8月の4割程度と少ない。2月・3月・7月・12月は約200万人で1月の1/3の水準に留まり、繁閑の差が非常に大きい。

■奈良県観光は「歴史・文化」に偏重?

観光入込客数は観光地点(*1)や行祭事・イベントの訪問者数を把握して推計する。

観光地点に関する奈良県の特徴を見ると、(1)他県と比べて観光地点(195地点)が少ない〔滋賀県254地点、兵庫県942地点〕。(2)観光地点のタイプが「歴史・文化」(37.4%)に偏っている〔観光入込客数は6割を占める〕。(3)「行祭事・イベント」(全体の2割)の件数は比較的多いが、観光入込客数(同1割)は少ない。(4)「スポーツ・レクリエーション」「都市型観光(*2)」は観光地点・観光入込客数とも非常に少ない。

全国的な傾向として観光地点が多く、同タイプがバランスよく構成されている県は、観光入込客数も多く、季節変動も比較的少ない。

奈良県においては、歴史・文化の観光地点や行祭事等を大切にしながらも、新しい観光地点の発掘・増大や同タイプの多様化などにより観光ニーズの変化に対応していくことが、観光入込客数の増大及び季節変動の平準化にも寄与すると考える。      (島田清彦)

*1:非日常利用が多い、前年の観光入込客数が年間1万人以上(若しくは特定月5千人以上)などの条件で抽出。

*2:商業施設や地区・商店街の朝市・市場等、農水産品等の直売所、物産館等、道の駅、パーキングエリア等。

図1

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