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事業承継を円滑に進めるために(2020年1月)
主席研究員 橋本 公秀
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■事業承継は喫緊の課題

2019年1月時点の経営者の平均年齢は59.7歳(「全国社長年齢分析(2019年)」(株)帝国データバンクより)となり、過去最高を更新している。今後さらに経営者の高齢化が見込まれ、事業承継は喫緊の課題である。

確かに事業承継は重要な経営課題と認識している経営者は多い。しかし重要視しているにもかかわらず、なかなか事業承継が進まないのが現実である。


■経営者が事業承継について理解を深める

まず経営者が事業承継について理解を深めることが大切である。一般に59歳の経営者は、非常に元気な方が多い。そのためこれから先10年は、本人が引き続き経営を続けるケースが多いと考えられる。

しかし10年が過ぎ、70歳頃に急に後継者を探そうとしても思うように見つからないのが現実である。さらに経営者が10年、20年、あるいはそれ以上かけて育てた事業を1年足らずで引き継ぐのは至難の業である。実際、事業承継を進めるうちに様々な問題が生じ、気が付けば1~2年位あっという間に過ぎたという声は多い。事業承継が完結するまで数年を要するため、経営者が気力・体力・知力が充実している時期に課題となる問題を解決しながら取組む必要がある。


■課題が多く時間がかかる事業承継

事業承継はゴールに辿りつくまでに様々な課題を解決しなければならない。

後継者が親族で決まれば、親族間の相続の問題があり、役員・従業員であれば、株式を取得するための資金をどうするか等、解決すべき課題が発生する。また親族内承継や従業員承継が無理な場合、M&Aや廃業ということも選択肢となる。いずれにせよ1~2年で済む問題でなく、時間がかかるということを念頭に置く必要がある。


■事業承継のはじめの一歩

後継者を誰にするかについては、まず家族会議でしっかり意見交換をする必要がある。特に配偶者の意見には必ず耳を傾ける姿勢がほしい。そして後継者が親族で決まれば、経営者と後継者との間で経営や組織のマネジメントについてしっかりコミュニケーションをとる必要がある。親族内承継ではハングリー精神の塊の如く社長業を全うしてきた創業社長や先代から引き継いだ会社を飛躍的に成長させたパワーのある経営者と、「社長の息子」として育ってきた後継者では、各々が描く社長像に天と地ほどの差がある。以下に親族内承継に向けての経営者と後継者の主な心構えを例示するので、事業承継を具体的にはじめる前に、経営についての考え方の違いをお互いが認識し円滑に進めてほしい。


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