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2019年12月に、今後5年間(2020~2024年度)の地方創生への取組方針を示した『第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」』が閣議決定された。2014年開始の第1期総合戦略については、「しごとの創生に関しては一定の成果が見られる」と総括したものの、東京圏への転出入は、2020年に均衡を図る目標に対し2018年は13.6万人転入超過と東京一極集中の是正は困難な状況である。
そこで2020年度から始まる第2期総合戦略では、目標の追加や見直しが行われた。まず横断的な目標として、「新しい時代の流れを力にする」と「多様な人材の活躍を推進する」が追加された。
具体的には、Society5.0の実現を推進するため、未来技術を活用し地域課題を解決した自治体を600団体(2024年度までの目標、以下同じ)作り、
SDGsの達成に向けた取組を行う自治体を全国の60%に増やすとした。基本目標の見直しにおいては、地方における若者を含めた就業者増加数を100万人としたほか、関係人口の創出・拡大に取り組む自治体の数を1,000団体にするなどとした。
第2期総合戦略の目玉の一つともいえるこの関係人口とは、移住者(定住人口)でも観光客(交流人口)でもない、都市部に住みつつ副業・兼業や伝統行事への参加などで地域や地域住民と多様に関わる人々のことを指す。多くの地域で人口減少・高齢化による地域づくりの担い手不足が問題化しており、また日本全体の人口も2008年をピークに減少局面に入った状況下、全国一律に移住による定住人口増加を目指すのはそもそも無理がある目標だったともいえる。
関係人口を増やすには、「地域の中小企業で副業・兼業人材を受け入れるためのマッチング」「地域活動に都市部の人を受け入れる仕組み作り」などを通して、受け入れた関係人口と地域住民の交流の中で化学反応が生まれるような方向へ施策を設計し、地域住民も主体的に参加する息の長い取組を進めることが求められよう。「人口移動」から「人材活用」へと基本スタンスがシフトしたともいえる第2期総合戦略を基に、各自治体がどのような取組を進めるか注目したい。