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■相手に良い印象を残す初頭効果と親近効果
4月、入学・就職・転勤などで新しい環境に身を置くことになった方もいらっしゃることでしょう。初対面の人に会うとき、事前に相手をリサーチしたり、普段以上に身だしなみを整えたり、より大きな声で挨拶することはありませんか。これらは「最初の印象が残り続ける」ことを無意識に理解して取る行動だといわれています。実際に人は第一印象に大きく影響されており、この「最初に抱いた印象が、相手のイメージとして記憶に残りやすい効果」のことを「初頭効果」といいます。先に与えられた情報によって相手の印象が決まってしまうのが初頭効果の特徴です。
一方、初頭効果とは反対に「最後に得た情報によって全体の印象が形作られる」とする「親近効果」があります。一見、初頭効果と親近効果は矛盾するように思えますが、どちらが優勢というよりは、どちらも相互に影響を及ぼしていると考えられます。まさに、「最初が肝心」と、「終わり良ければすべて良し」ということです。
■初頭効果と親近効果を活用した電話応対のポイント
これらの心理効果をビジネスシーンで活用してみましょう。ここでは、苦手意識をもつ人が多い電話応対での良い印象を残すコツを考えます。電話はお互いの顔や表情が見えないことから、電話を通して伝わる言葉遣いで印象が決まりやすく、対面するとき以上の気配りが必要になります。電話応対の話し方のポイントは主に①正確②簡潔③丁寧の3つです。初頭効果と親近効果を高めるため、特に最初と最後の声や動作に意識を向けます。
まず、電話が鳴ったら3コールまでに素早く出て、やや高めの声で明るく名乗ります。会社名、名前など名乗り方を部署内で決めておくと統一感が出ます。電話に出るのが遅くなり相手をイライラさせないよう、また、早口や小さ過ぎて聞き取りにくい声にならないよう注意しましょう。お待たせしてしまったときは、お詫びの気持ちを込めて「お待たせいたしました」の一言を付け加えます。電話をかける方も、会話がどのように展開するのか不安な気持ちを持っています。さわやかな応対で良い第一印象を残せるようにしてください。
最後に、要点を復唱し内容を確認したら終わりの挨拶をして電話を切ります。基本的にはかけた方が先に電話を切ります。その際は、受話器を乱暴に置くことのないよう、フックを押してから受話器を置くことが望ましいです。そうすれば、相手に大きな音を聞かせずに済みます。受け手は相手が電話を切ったことを確認してから受話器を置きます。丁寧な応対でとても気持ちのいい会話ができたと思っていたら、早々に電話を切られたり、最後にガチャンと受話器を置く音が聞こえて残念な気持ちになったことはありませんか。せっかくの応対が無駄にならないよう最後まで気を抜かないようにしましょう。
会話途中の話し方については取り上げませんでしたが、電話応対には独特のマナーやフレーズがあり、慣れていなければ難しい場面もあります。万一、あまり良くない印象を与えてしまっても親近効果で最後に挽回することも可能です。経験を積めば電話への苦手意識も薄らぎますから、良い印象を残すポイントを押さえて積極的にチャレンジしてみてください。