3月30日に開幕したプロ野球も対戦カードが一巡した(4月16日現在)。連勝を伸ばしスタートダッシュに成功したチームもあるが、ほとんどのチームはまだ今年1年間の戦い方を模索している段階だ。そのような中、今シーズンの活躍が楽しみな阪神タイガースの2人の投手に注目したい。
まずはドラフト2位で亜細亜大学から入団した高橋遥人(はると)投手だ。4月11日の広島戦(甲子園)でプロ初登板初先発し、7回を無安打に封じ初勝利を飾った。阪神の新人投手が甲子園での初登板を先発し、勝利投手となるのは村山実さん以来59年ぶりのこと。ストレートに強い広島打線を力でねじ伏せるピッチングは、同じ左腕の江夏さんや井川さんを彷彿させる圧巻の投球内容だった。
そんな高橋投手が、リーグ優勝を争っていた東洋大学との直接対決で3点ビハインドの局面から救援で登板するも5球連続ボールを投げ即降板。この試合が、学生野球最後のマウンドだったとは信じられないような甲子園でのマウンドさばきだった。今後は左肩の調子と相談しながらの登板となるだろうが、怪我に注意しながら強烈なストレートで1年間を投げ抜いてほしい。
二人目は昨季開幕7連敗した小野泰己(たいき)投手だ。富士大学時代の北東北大学野球リーグでは、3年の秋季リーグ戦で登板した4試合にすべて勝利し、さらに防御率0.00で最優秀防御率のタイトルを獲得。また4年の秋季リーグ戦では登板した5試合すべてに勝利するなど、リーグ戦で通算12勝1敗(22試合に登板)という成績を残すほどの負けの少ない投手であった。
しかし、ルーキーイヤーの昨年は好投しながら勝ち星に恵まれず、初勝利は13試合目となるヤクルト戦までかかった。プロ初勝利は難産であったが、今年はDeNA戦で初登板初勝利。持ち味であるキレのある直球で侍ジャパンの4番を打った筒香選手を完全に詰まらせていた。球威に加えてコントロールも格段に良くなり、今年はローテーションの柱として期待できるほどのピッチング内容だった。
秋まで続くペナントレースは長丁場であるが、どちらの投手も1年間、伸びのあるストレートで打者を翻弄するピッチングを続け、秋には金本監督を胴上げできるよう頑張ってほしい。