健康維持のために町のスポーツジムに通い始めて1年半。元々ろくに運動もしていなかったのに40代半ばにして突然筋トレを始めたものだから、通い始めてしばらくの後、膝を痛めてしまったという恥ずかしい経験談を前回このコーナーで紹介した。
膝の痛みはその後も一向に治まらず、階段の登り降りや長時間の歩行に支障を来していた。整形外科で改めて検査をしたところ、わずかではあるが半月板を損傷していたことが判明。損傷部分を切除しないと根本的な痛みは無くならないとのことだったので、手術することを即決。多少の不安はあったが、むしろ「どんな手術なのか経験してみたい」という好奇心が勝った。
手術は膝に2カ所穴を開け、一方から関節鏡(カメラ)を挿入しモニター画面で手術する部位を確認しながら、もう一方の穴から挿入した器具(ドリル)で損傷部分(ささくれのようなもの)を削り取るというもの。局部麻酔を使用するとのことで「怖っ」と思いつつ、痛くないのなら「観察したい」と強がる気持ちも…。だが、点滴で麻酔を打たれ、徐々に視界が上下に回転し始め、次に気付いたのは手術も終わり、看護師に声をかけられた時だった。とっさに「何時間眠っていたんですか」と尋ねると、「20分程ですよ」とあっさり…。まんまと眠らされてしまい(そのための麻酔だが…)よかったような悔しいような…。膝はガーゼとテープで完全に保護され、中身を窺い知ることはできない。上体を起こすとふらつき、平衡感覚が麻痺している。松葉杖をついて電車を乗り継いで帰るつもりだったが、到底無理であることを悟り、事前に医者から言われていたとおりタクシーで帰ることにした。
その後数日間、膝は内出血で赤から紫に変色し、膝から下は乳幼児の足のようにむくんだ。痛みは薬で抑えられたが、油断して歩くとその後の回復に支障するとのことで、1週間は松葉杖で膝をかばいながらの生活となった。
あれから半年が経った。半月板損傷に伴う痛みは完全に無くなったが、加齢により上下の膝関節が狭まっていることで生じる痛みは今も時々顔をのぞかせる。これには膝への負担を軽減するために、大腿四頭筋を鍛え続けるしかない。つまり整形外科のリハビリに通うか、自宅やジムで筋トレをするか。同じように続けるなら、ジムで自発的に身体を動かすほうがいい。そのようなわけで週に2度のジム通いは、今では膝のリハビリだけでなく、基礎体力の向上や地域住民との交流など様々な恩恵をもたらし、すっかり習慣化している。