この夏、青森県を初めて訪れた。伊丹空港から約1時間半、青森県の南東部、太平洋側にある三沢空港に到着。三沢は本土最大の米軍空軍基地がある極東安全保障の重要拠点としても有名だ。三沢空港は、米空軍と航空自衛隊も使用する軍民共用空港として運営されている。9月には三沢基地航空祭が開催され、航空自衛隊機のほか米軍の航空機も多数参加し、ブルーインパルスなどの展示飛行に約10万人の観衆が釘付けになる。約4万人の人口に加え、約8千人の米国人や軍属及びその家族が暮らす。地元公式観光ガイドブックをみると、米軍基地が所在する世界の街の中で、三沢は最も基地との関係が良好な街として紹介されている。
三沢市内から車で南西に約1時間余り、日本屈指の景勝地である奥入瀬(おいらせ)渓流(十和田市)に行った。奈良県十津川村・和歌山県新宮市にある瀞八丁と並んで、国の特別名勝および天然記念物に指定されている。大自然の中で大量の水が躍動するのをみていると夏の暑さが吹き飛び、とても癒やされた。奥入瀬渓流畔には国内唯一の渓流リゾートホテルがあり、 非日常的な空間を堪能できる。渓流のせせらぎや小鳥の鳴き声を聞きながら渓流テラスで趣向を凝らした料理を楽しんだり、自転車でのんびりと渓流を散策するポタリング等、大自然の中で涼を楽しむ様々な過ごし方が提供されている。
青森県は本州の最北端という遠さがネックなのか、「実は一度も訪れたことのない都道府県ランキング」で3位になったこともあったらしい。他方、外国人旅行者は年々増加。外国人宿泊者数は東北6県では宮城県に次いで2番目の多さで、今年は20万人泊を目標に掲げる。中国天津との定期航路の新設や青森-ソウル線の増便等の空路に加え、海路(青函フェリー)、陸路(北海道新幹線)の組合せにより、外国人旅行者を呼び入れる「立体観光」が展開されている。青森県の観光の魅力は奈良や京都、大阪等と違い、まさに「知られていない」という面白さ。インバウンド観光もFIT(海外個人旅行)のステージに入った。未知への旅は、団体旅行やパッケージツアーに頼らないFIT客を魅了する。
7月半ばに訪れた際の現地気温は21度。36度を超える関西からやって来るとすこぶる快適、すぐに元気を取り戻した。青森県は絶好の避暑地だと実感。今年の夏は記録的な猛暑が続いた。来年の夏も自然あふれる場所で涼しく、心地よく過ごす避暑観光はますます外せなくなるだろう。